7時に起きる

できるだけ毎日

脱毛してないと女じゃない

ノースリーブ着るのは脱毛サロンに行った女だけ。

夏に海やプールで遊んでいいのも然り。

その鉄の掟を守れない女は女失格とし、世間から嘲笑の刑を処す。

 

脱毛に行く勇気がない、又は金がない女は、

以下の法度を厳守せよ。

1、ノースリーブのことを考えるな

2、可愛いパンティのことを考えるな

3、電車のミュゼの広告をじっくり見るな

4、銀座カラーのCMをじっくり見るな

5、Googleで、「脱毛   必要ない」などと検索するな

 

脱毛しない女は、脱毛する権利を行使しない点に置いて弱者として自己を認識せよ。

また、その権利を28にもなり行使しようとしている馬鹿野郎、お前はこれからどんな困難があろうとも、嘲笑や詐欺を感じようとも、その権利を手に突き進む事をここに誓え。

 

もう一度言う。

脱毛してないと女じゃない。

その事実をお前がその目で確認してこい。

 

 

 

 

 

 

と、タイラーダーデン風に読んで頂けたでしょうか?

私はこの鉄の掟を小学五年生くらいから意識し始めました。

脱毛サロンとかはもちろん分かりませんが、遠足や修学旅行でお風呂に各組に分かれて芋洗いされる度に、

自分の毛量、他人の毛量を意識するようになりました。

 

ファーストインパクトは高校生の頃です。

体育祭でチアリーダー部の発表があり、ぼんやり見ていましたが、

みんなツルツルの脇で、恥ずかしげもなく踊っていました。

当たり前だろ、と、当時の自分に言ってやりたいですが。

16歳の私は人前で脇を晒す、というのが自信の象徴のように見えたのです。

 

その頃にポルノグラフィティが大流行し、

一枚目のアルバムの一曲目「JAZZ UP」を聞いたときこれまたその歌詞に衝撃を受けました。

 

ダイブインザガール

ダイブインザマザースカイ

隠さなくていい

ジョリジョリでもいいから

 

この肯定的な文句を聞いて、思春期のわたしはますます「ジョリジョリ=悪」「ツルツル=正義」という解釈を深めます。

 

時はたち、成人を経たわたしは、

親友が脱毛に行っているという裏切りに合うのでした。

彼女は親に資金を出してもらったそうで、

本当に有益な投資をしてくれる良い親だな、と今では尊敬します。

 

私は親に資金を出してもらうことを、金をせびるという言葉に脳内変換してしまう癖があるので。

その言葉の軽薄さから選択肢にいれようともしませんでした。

しかし金がないという最良な言い訳はわたしにとってぬるい足湯に浸かっているようなもので居心地がよく。

何だかんだで脱毛には行かず、

ノースリーブは着ない、

水着も着ない、

可愛いパンティもはかない、

という徹底した模範囚ぶりを発揮していました。

 

同時に、わたしのなかで作り出したタイラーダーデンが、

お前は脱毛に行ってないから女じゃない、と叱咤激励します。

そうするとドンドン自己評価が低くなっていき、

 私はすっかり背中が丸いスペースモンキーとなっていたのでした。

 

そんな私でも日々色々な刺激を受けて、

一念発起して脱毛サロンの体験コースなど受けたこともあります。

しかし、脱毛サロンとは女の美を扱う悪魔の巣窟。

勧誘がとにかく凄まじいです。

「その歳でまだ脱毛してないなんて珍しいですね」と言われたり、

脇とアソコだけでいいのに、「うちは皆さん全身脱毛を選んでますよ!」と百万くらいする正しくケツの毛までむしりとられるコースにあわや契約させられそうになったり。

 

その地獄巡りを経て、

私はますます脱毛しない女に落ち着いてしまいました。

 

そんなこんなで、28となり、

わたしの脇やアソコがジョリジョリだろうが熱帯雨林だろうが気にしない男性と出会い、精神的にも落ち着き、

無駄遣いもないので金もたまり、

 

そしてまた考えます。

脱毛してない自分はなんて駄目な奴なんだろうと、ずっと思ってきたし、

そんな自分は可愛い水着もノースリーブも着る権利がないと思ってたけど、

それなりのお金を払って施術を受けてしまえば、

本当はやりたかったそういうことができるんだよね。

 

なんかくだらねぇな。

 

ということで、

自分のそういうコンプレックスがクソくだらないことに気付きながら、今度はしっかりと脱毛サロンを探しました。

通いやすく、痛みがなく、値段も満足できるところ。

そういうサロンに、申し込むつもりで向かい、勧誘を受け、質問もし、支払いを済ませ、

そして通い始めました。

自分で決め、自分で支払い、通う決心をしました。

 

その結果、

わたしは自分を「脱毛に行ってるから」と許し、

28の夏、初めてノースリーブを着ました。

毎日ノースリーブで出掛けました。

水着も着ました。

彼と向かった伊豆大島の海は浅黒く冷たかったけど、それでも、あー水着も着れた、競泳選手みたいなやつじゃなくて、普通の、女の子が着るやつ。

と、心の底からホッとしました。

 

そして今は思います。

脱毛サロンに行ったのは、

脇をツルツルにしたいからではなく、

自分を許したいから。

頭のなかで勝手に厳しい戒律を作り、行動を狭めていた自分を。

もういいかげん許してあげたいから。

 

同じような、

心にタイラーダーデンを、

スパルタカスを、

戸塚ヨットスクールを、

持ってしまった脱毛してない女は、

もういい加減自分を許してやってもいいですよ。

脱毛サロンに行かなくてもいい。

しっかりと脇をカミソリで剃って、

それで好きな格好しなさい。

自信を持てないなら、ちゃんと自分の責任で脱毛に行きなさい。

金は出せる金額でいいから、無理しない程度に確保しなさい。

 とにかく、

お前の脇に全力で嘲笑しているのは、お前だけだから。

 

つまり、

脱毛してない女は、もちろん女であり、

脱毛してる女も、もちろん女だから。

そんなことで何年も悩むんじゃない。

 

分かったなら自分の葬式代だけ持って旅立ちなさい。

このスペースモンキー野郎。

 

 

 

ps.

脱毛サロンのお姉さん達は本当に聖職です。

いつも汚いケツを嫌な顔ひとつせず清めてくださり、

本当に本当にありがとうございます。

終わったあとに紅茶をいれてくださり、

本当に本当に、美味しくいただいております。

年中無休で元旦も休みなく働いている聖女の皆様、

本当に本当に、お身体ご自愛ください。

 

脱毛帰り、スタバの隅の席にて。